歯を失う原因として歯周病やむし歯に次いで多いのが歯の破折です。破折と言っても噛んだり噛み切ったりする歯冠部分のみの破折でしたら修復治療で済みますが、歯根が破折してしまうと、将来的に抜歯になってしまうケースが増えているのが現状です。
歯根破折は、完全に歯根が分断されている状態からヒビのみが入っている状態もあり、破折した位置や深度によって歯の延命度が変わってきます。
転倒等で歯を強く強打した時や固いものを噛んで一瞬で破折してしまう事もありますが、特に奥歯においては、長期に渡って長い時間歯と歯が接触し合ってかかる力が問題点となります。
食事の時間も入れて1日に歯と歯が接触する時間は20分以下が良いとされますが、就寝中の噛みしめや歯ぎしりによる強い負荷力(人がギュッと噛みしめた時の咬んだ力は70㎏程度)、日中でも噛みしめていなくても歯と歯が接触していると、弱い負荷力が持続的にかかってしまいます。このような力が日々歯にかかると、歯冠部に亀裂が入り始めて、徐々に拡大して歯根まで及ぶことがあります。
健全の歯より歯の神経を抜いてしまった歯の方が起こりやすいので、歯の神経を抜いた歯が多い方や噛んだ時に違和感や痛みが出るようになった、歯肉が一部腫れる、さし歯が土台と一緒に外れる、食事中など噛んだ時にパキッと折れたような音がしたことがある、他の歯は動かないのに1本だけ歯が動くといった症状がある場合は、歯科医院を受診してみて下さい。
また歯科検診では、歯周病の検査の際に歯肉の溝の深さと歯の動揺を調べます。歯根破折していると、その歯の歯肉の溝の一部が深くなっており、その際に判明することもあります。
むし歯や歯周病でもない人にも起こる厄介な疾患ですので、定期的な歯科受診をお勧めいたします。