小さな傷は、何もしなくても時間の経過と共に元通りに治る場合が多々あります。ですが、大きな傷や角膜又は神経のような再生能力の弱い組織が傷ついてしまった場合、現代の医学では治せない事もあります.。最近の医学の進歩はDNAを研究することにより目覚ましい発展を遂げていて、最新医療では今まで限界であった病気が治療可能になる希望が開けてきました。そういう最新医療の一つに「再生医療」というものが注目されています。歯科界においても「再生医療」の一助になる取り組みをしています。それが、今回ご紹介させていただく「歯の細胞バンク」です。最近の研究で、歯の中にある「歯髄(歯の神経)」には、組織の再生能力をもつ「幹細胞」が含まれており、再生医療に使用可能であることが分かってきました。抜いた歯※を「歯の細胞バンク」に預けると、歯の細胞を培養して凍結保存されます。虫歯や歯周病で抜歯になってしまった歯は使用することが出来ませんが、そうでない乳歯や親知らずなどを抜歯した場合は預けることができます。歯の細胞は骨、神経、筋肉など多くの細胞に変化することわかっています。研究が進めば、虫歯、歯周病の治療だけでなく、脊椎損傷、心筋梗塞、糖尿病など様々な病気の治療に使えるようになるでしょう。また、歯の細胞からiPS細胞を作ることによって全身の病気の治療が期待されています。
※歯の細胞バンクの認定医が、抜いた歯に限ります。